SPレコード 満鉄社員会『敷いて延ばした』

父方のいなかの古い家で、埃だらけのトランクを見つけました。
持ち上げてみるとやけに重い…
そして開かない。

そして、こんなに鍵があるのに…
どれも違うのです!

でも中は見えました。
前にも誰かが見つけて、確かめようとしたのか
それともただ古いせいなのか。

どうも中身はレコードですね。

トランクは意外としっかりしていて、この小さな窓ほどしか壊れておらず
中身を出すことはできませんでした。

どんな曲が入っているんだろう…?
そう思ったこの時は、まだ私はレコードプレーヤーも持っていませんでした。

半年以上経ってから、マルチプレイヤーを購入。
それから近所のレコード屋さんで最初の一枚を買いました。

レコードの実体感に感動。

それから、レコード屋さんに件のトランクの写真を見せて相談しますと
「これは多分、SPレコードですね。」
と言われました。

LPとSPの違いも知りませんでしたので
「SPレコードは割れやすいので、気をつけて運んできて下さい。」
と教えていただいて良かったです。

トランクに入っているし、そのまま配送の荷物に放り込もうと思っていました…

次にいなかへ行った時、この手のトランクの開け方を急に思い出しました。
鍵穴のある金具を横にスライドさせるんですよね。
掛け金が跳ね上がりました。

かかってもいない鍵に悩んでいたことになりますが
SPレコードの割れやすさを知らない時に、扱わずに済んで良かったです。

さて、中身。
レコード屋さんの予想では「この時代なら浪曲、クラシック、軍歌でしょう。」
とのことでした。

自分の趣味からゆくと、できればクラシック
ありうるならミュージカルの曲がうれしいですが
果たして…?

『浪花節 由井正雪』
出ました、浪曲です。
でもちょっと聞いてみたいです。

『橋弁慶』
ピアノ伴奏付の筑前琵琶って、どんなのでしょう!?
これももはや楽しみです。

流行歌もありました。
『清水次郎長』
数十年前のJ-POPはさすがの人選です。

と、だいたいこの方向でした。
好きで買うものとはだいぶ違うようです…

そのぶん自分ではまず買わないですから
良かったのかも知れません。

それに、今は手に入れるのが難しいものもありそうで
そういった路線で気になったのが、この一枚でした。

『敷いて延ばした』

一瞬、何のことか分かりませんでした。
敷いて延ばした。

それから満鉄社員会の字が目に入って、理解しました。
あまりにも真っ直ぐ言われて
「あ、そうですよね!」と、ちょっと微笑ましく感じかけたのですが
鉄道が敷かれゆくのを想像しますと…
大変なことです。

敷いて延ばした。
いいタイトルです。

歌詞を少しだけご紹介。

A面『敷いて伸ばした』

  敷いて伸ばした
  敷いて伸ばした一万余キロ
  敷いたところに
  延びたところに
  花が咲く

(中略)

  結ぶ日満アジアの栄
  進め満鉄
  走れ満鉄どこまでも

B面『北はアムール』

  結ぶ絆はおいらの鉄路
  明日はスパイクどこへ打つ

この後、ところどころ聞き取れませんが
同僚と枕を並べて、枕木を抱きながら月を見ているシーンや
「月はなくともレバーは光る」という歌詞があります。

大変だけどやりがいはあって、力強くやってゆけるさという内容で、曲調もひたすら明るいのですが
心への余韻としては、切なさが強く残りました。

その後の満州鉄道のこと、大陸で起きたことを
思い出してしまうからでしょうか。

浪曲は馴染みがないせいか何割かしか聞き取れません。
だんだん分かるようになるのでしょうか。
レコードの耐久性が心配なので、早めにUSBにデータを入れようと思います。

A cat walking in art

毛皮の中身はひみつではない。 どこかの画廊で、会っているかもしれません。

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